涙話 -Beeindruckt sein-
第1章 仮面夫婦生活
とりあえず、俺の妻を落ち着かせ話を聞いた。
小林さんの旦那さんは妻の会社の課長だった。
2人目を授かる半年前くらいに何回か会っていて、
身ごもってからは一切会っていないと言い、
浮気を発見したのはたまたま2人でいたところを、
小林さんの奥さんの友達が見たらしい。
小林さんの旦那は
「償いはします」
と言っていたが、俺は混乱していたため
「とりあえず、今日のところはお引き取りください」
そう言って小林夫妻には帰ってもらった。
俺はどんな顔をしていだろう。
怒りもあったが悲しさもあった。
何を話せばいいのか分からず黙っていると、
震える声で妻が声を発した。
「本当に…ごめんなさい…。あなたに何とお詫びしたら…」
妻は額を床にこすり、泣いていた。
そんな姿を見て俺も泣きそうになった。
小さい頃から描いていた幸せな家庭図が一気にガラガラと崩れていった。
精一杯俺は声を振り絞った。
「何で…浮気したの??」
「私は…家事も何もできなくて…
あなたは完璧すぎて…
必要とされていないと思った…、寂しかった」
「何だよそれ…っ」
自分が家事が出来なくて、俺に負担がかかっていると思い、
自分は相手にされないと思ったらしい。