涙話 -Beeindruckt sein-
第1章 仮面夫婦生活
「本当にごめんなさぃぃぃぃ!!!」
妻は涙も鼻水も気にせず叫ぶように謝罪の言葉を言っていた。
「ちょっと考えさせて…」
俺は部屋に籠った。
普通に考えたら離婚だろう。
だが昔、俺の両親も仲が良くなかったので
寂しい思いをしていた。
そんな思いを俺の子供にさせたくない。
しかし妻を2度と愛すことは出来ない…。
部屋を出て妻を見るとぼーっとしながら掃除機をかけていた。
「…君はどうしたい??」
「…私には言う権利はありません。あなたに任せます」
俺の一挙一動に妻はびくびくしていた。
「俺は…出来れば離婚はしたくない」
自分の考えを妻に話し、妻は泣きはじめた。
子供に対する罪悪感もあったのだろう。
話終え、俺は
「これは俺の考えだ。だから、君が別れたいならば構わない」
「いいえ…あなたさえ許してくれるなら、償わせてください」
そう言って妻は頭を下げた。