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君がいたから-優輝ver.-

第5章 気持ち

・・さてと・・。
電車がホームに止まりきったところで、電車に乗りこもうと立ち上がる。

「さ、乗ろう。」
「はいっ!」

二人で電車に乗り込むと、ひんやりと冷たい空気に触れた。

「きもちいですねー」
「そうだねー。」

・・にしても、いすぎると風邪をひきそうだな・・。
乗車時間はここから一駅だから、大体4分程度なものだけど。

「席・・・あ、空いてる。」

俺は、沙彩ちゃんの手を握り、そこに誘導して座らせる。
俺もその隣に座った。

「でも、こんなに混んでるのに座る人がいないのは不思議ですねー」

沙彩ちゃんはおもむろに口を開く。
確かに、それはそうだな・・。
なんで座らなかったんだろう。
まぁいいか。おかげで座れたんだし。

「気分じゃない?立っていたい気分だったのかも?」
「あはは、なんですか?それー」

よく笑うようになった気がする。
沙彩ちゃんと初めて会話したのが昨日のことだなんて嘘のようだ。
もう大分長いこと友達をしているような錯覚を覚えるほど、よく笑ってくれるようになった。
あかねの前ではあかねのがキャラが濃すぎるのか、遠慮してる節があるけど、それでもずっと明るくなった気がする。
2日の関係で何をいってるんだといわれたらそこまでなのだが。

でも、知らないことだらけであることに変わりは無い。
気になることは、今日のうちにしっかり聞いておこう。
俺も聞かれたらちゃんと話そう。
心にそう決めて、電車に揺られる。


考え事をしていると、急に沙彩ちゃんが立ち上がった。

「どうしたの?」
「え!?着きましたよ?ここですよね?」
「・・あ、ほんとうだ。ぼけっとしてたよ」

あはは、と笑いながら電車から出る。
ホームから構内に上がって、改札を抜けると、
灼熱地獄がお待ちかね。

「ああ、無情。」
「ふふ。ええっと、あかねちゃんの家ってどこですか?」
「ああ、自転車じゃなきゃきついから、荷台にのってくれる?」
「あ、はい」

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