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君がいたから-優輝ver.-

第5章 気持ち

シャワーを浴びている最中に、ドタドタという足音が上から聞こえてくる。

ははぁ、またやってんなぁ・・?

「ったく、うるさいなあ。あいつはちっとは少しに移動できないのか・・?」

シャワーのボタンをポンと押してシャワーを止めた。

「さっさと出かけよう・・。」

バスタオルを腰に巻いて、いざ自室へ!というところで、先ほどの足音の主に遭遇。

『あ、お兄ちゃん。おかえり。いたの?』
「いたのってひどいな。っつか、静かに歩けよ。」
『えー。そんなにうるさかった?』
「かなりな。」
『えー・・。あ、そだ!今日はどこかにいくの?』
「うん、これからあかねの家に。」
『ご飯はー?』
「先に食べてていいよ。母さん帰ってくるの今日は遅いって。さっきラインあった。」
『ええ!?知らなかった!』
「お前、ラインに既読つけないし電話にもでなかったんだって?母さんが嘆いてたぞ。娘は母をシカトするのです!!って。」
『えー。そんなことないのにー。ちょっと寝てただけだよー』
「何時間寝てたんだよ」
『ざっと、朝方5時から今まで!』
「それはちょっととは言いません。」
『あはは!私もこれからでかけるから!』
「どこにいくの?」
『パパに会ってくる!』
「・・・気をつけろよ。」
『そんなんじゃないし!』

うちには父親なんてものはいない。
うちは母子家庭だ。
つまり、一般的に解釈すれば、「パパ」というのはもうそっちの意味としかとれないが、実はそうじゃない。
パパ、という犬が近所にいるのだ。
その「パパ」の散歩に毎日出かけている。
よくもまぁ飽きないもんだ。


「じゃ、気をつけてな。」

そう言って、俺は階段を駆け上がる。

『あ、お兄ちゃん!』
「なんだよ。」

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