檻の中の女
第7章 学校生活
「……おい。」
急に声をかけられて、はっとして顔をあげると
そこには、不機嫌そうな顔で、だけど少し心配そうな顔をした那智がいた。
「ご、ごめん。ボーッしてて…どうしたの?」
「教科書忘れたから…見してもらってもいい?」
「あ、そうなんだ!いいよ!机くっつけよっか。」
教科書を2人で見れるように机をくっつける。
「……体調、悪いの?」
「え?……あ、ほんとにただボーッとしてただけなの。ごめんね、話しかけてくれてるのに気づかなくて。」
「それは別にいいんだけどな。」
考えてみると、隣の席でもここまで那智と話したことはない。
無口な人だけど、やっぱり愛想が悪いとかじゃないな~。
単にぶっきらぼうなだけなのかな~。
整った横顔を眺めながらぼんやりと考えていると、
ん? という顔をした那智と目が合った。
「あ、ごめんごめん。ジロジロ見ちゃって…。」
なんとなくいたたまれなくなってすぐに目をそらす。
何秒が沈黙があったあと、
「……転校生、来たんだな。」
那智が口を開いた。