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檻の中の女

第7章 学校生活


「あ、そうなんだよ。水無月君、1時間目休んでたから紹介知らないよね。
一ノ瀬詩織ちゃんっていうんだけど、あたしの知り合いなんだ。たまたま転校してきて…。
また困ってることとかあったら助けてあげてね。」

「あ、うん。気づいたら助けとく。
ハーフ、だよな?日本語は分かるのか?」

「うん、こっちで育ったから日本語はペラペラだよ。ほんと、すごく綺麗だよね…。
でも見た目だけじゃなくて、性格もすごくいい子なんだよ!
なんか、ほんと全てが綺麗なんだ~…。」


普段ならあまり人と話さないが、
詩織のことを話しているとつい饒舌になってしまう。

「……けどな。」

小声で那智が何か呟く。

「え、ごめんなんて?」

「卯月も、すごい綺麗だけどな。」

「……え……。」


顔が急にかっと赤くなっているのを感じる。


「おーいこらそこ!机近いからって私語するんじゃない。授業中だぞー!」


教師に注意されてぱっと前に向き直ったが、
私の胸はうるさいくらい鼓動が激しく、
全意識はほんの数10センチ向こうにいる那智に向かっていた。


な、なんでこんなにドキドキしてるんだろ…
ただのお世辞かもしれないし、
今までだって容姿を褒められたことはあったのに…

那智の静かな、深みのある瞳で見つめられることを想像するとなんだか胸が騒いだ。





なんだろう、この気持ちは……

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