檻の中の女
第5章 友情
ーーーーそしてそんな時事件は起こった。
それはある日の夕食時のことだった。
この施設での食事は
食堂に出向いて用意されたものを食べるようになっている。
栄養バランスなど完璧に考えられた食事で、
個人の体型にあわせて微妙にメニューも変わってくる。
私は、その日少し早めに食堂に来て
自分の席に座っていた。
そうして、グループでかたまって
楽しそうに話している女たちをぼんやりと眺めていた。
そして、もうすぐ食事が始まるというときに、
食後に飲むように決められているサプリメントを
ブースに置いてきてしまったことに気がついた。
(まだ時間あるし、今のうちに取りに行こう…)
そう思って静かに席を立った。