ワールドアパート
第4章 天才に挨拶
部屋にはこたつとテレビと本棚
生活雑貨は置いていなかった
「私はここに住んでいるわけではないのよ
家は近くにあるから夕方には家に帰ってしまうの」
先生の奥様は緑茶を出してくれた
僕の目の前に湯飲みをおくと
こたつに足を入れた
「坂口からどこまで聞いているかは知らないけど
あの子がいるのは202号室よ」
「あの…このアパート…他に住んでる人はいないんですか?」
たくさん疑問はあった
逃げないように監視しているなら、もっと厳重にするものを…アパートなんかおかしい
「アパートはね、坂口の研究を手伝ってくださる研究員さんたちがたまーに寝泊まりに使うくらいよ
それ以外は、私とあの子しかいないわ」
「近所の人から不信がられませんか?」
「あら、そう?この建物の所有者は坂口だし…
坂口の学生さんたちが寝泊まりに来るのだから…
怪しくはないでしょ?」
まぁ…奥様の言う通りだ…