ワールドアパート
第1章 プロローグ
僕は、坂口教授の私室の前で足を止める。
シャツの襟を整える
白衣のボタンを全て止める
メガネは汚れてないか、一度外して確認
こんなに気を使うのは、この先生を相手にする時だけだ
坂口先生は某有名大学の医学部を卒業したのちに、小児科医として開業していた。発達心理学やら生命倫理やらで論文を発表して有名になり、結構すごい先生だ。
しかし、大きな難しい手術を成功させたり、研究をして成功して有名になったわけではないから、医学生たちには尊敬の念は向けられていなかった。
医学生たちの尊敬は、心臓外科だの脳外科だのの先生たちだった。
でも僕が憧れているのは、坂口先生だ。
大学に入学した初めは、僕も脳外科の先生に憧れている所があり、坂口先生の生命倫理と哲学は全く興味がなかった。最初の坂口先生の生命倫理の授業で先生は僕にこう言った。
「つまらないと思う授業でも、まるで興味がある様なそぶりをしなさい。僕にも媚を売れない子は、本当に大切な場面や相手にも媚は売れないだろう」
まさに正しいことだと思った。
僕は先生の生命倫理の授業で媚を売りまくり、先生のお気に入りになった。
先生のお気に入りなるのに2年かかった。
シャツの襟を整える
白衣のボタンを全て止める
メガネは汚れてないか、一度外して確認
こんなに気を使うのは、この先生を相手にする時だけだ
坂口先生は某有名大学の医学部を卒業したのちに、小児科医として開業していた。発達心理学やら生命倫理やらで論文を発表して有名になり、結構すごい先生だ。
しかし、大きな難しい手術を成功させたり、研究をして成功して有名になったわけではないから、医学生たちには尊敬の念は向けられていなかった。
医学生たちの尊敬は、心臓外科だの脳外科だのの先生たちだった。
でも僕が憧れているのは、坂口先生だ。
大学に入学した初めは、僕も脳外科の先生に憧れている所があり、坂口先生の生命倫理と哲学は全く興味がなかった。最初の坂口先生の生命倫理の授業で先生は僕にこう言った。
「つまらないと思う授業でも、まるで興味がある様なそぶりをしなさい。僕にも媚を売れない子は、本当に大切な場面や相手にも媚は売れないだろう」
まさに正しいことだと思った。
僕は先生の生命倫理の授業で媚を売りまくり、先生のお気に入りになった。
先生のお気に入りなるのに2年かかった。