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天女

第5章 陰謀

「天女」

「独眞!」

振り返ると少し息切れした相手がそこにいた。

「すまない風呂敷を選ぶのに時間がかかってな」

たしかにこだわっているようで結び目がかなり複雑だ。
力任せでは無理らしい。


「ごめん……これ解けないや」

「ああ もしかして 不器用なのだな」
と笑ってこたえられた。

不器用で 間違ってはいないけどこれは難易度は高いと思う。

そう考えているのは伝わらないようで
それに構うことなく解く作業に移った。

これだけ器用に結べれば手品師にでもなれるんじゃないだろうか。

「とっても 器用だね」

「稼ぐためならな 普段からやり慣れていれば問題ない」

「内職? マジシャンやろうよ」

「まじ……?」

「マジ 沢山の人に芸をみてもらうの」

「俺は人前に出たくはない 芙蓉にでも頼んでみたらどうだ 嫌がるだろうが」

「嫌がる……?得意そうなのに」

「時と場合があるだろう」

「内職しなくても不自由ないんじゃ?」
振り返ると目がくらみそうな
ほど豪勢な建物。

「働くのは嫌いじゃない それに他に苦しい者もいるのだろう 俺だけ楽できないさ」




「それで本題なのだが……」

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