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フーセンガム

第34章 実家

(二宮side)

翔が、実家と言ったのはお城だった。

本に出てくるような白いお城じゃなくて、黒いお城だった。

「すご…」
櫻「翔です。」

防犯カメラに向かっていう。

『おかえりなさいませ。翔様』

「翔様?」
櫻「…使用人だよ」

なんか、翔が遠くに行ってしまった気がした。

仕「おかえりなさいませ。翔様」
櫻「…父さんは?」
仕「…お仕事に」
櫻「そう。部屋まで、荷物運んどいて。和也の分も」
仕「わかりました。」
櫻「和也、おいで」

翔と、手を繋ぐ。

「なんか…怖い」
櫻「え?」
「広すぎて…翔が離れちゃうみたいで」
櫻「大丈夫。ずっとそばにいるよ」
「本当?」
櫻「嘘ついてどうすんの?」

ははって笑う翔は、どこか寂しそうだった。

「なんで、実家に来るのに俺を誘ったの?」
櫻「…父さんが、病気かもしれない」
「え?」
櫻「まだ、本当かわかんないし俺も昨日、智から聞いて…。確かめに」

だから、寂しそうだったんだ。

「そっか…。でも、なんで俺も?」
櫻「挨拶」
「え?」
櫻「これから俺のそばにいてくれるパートナーって」
「パートナーじゃなくて、恋人じゃ駄目なの?」
櫻「いいの?そう言うと『結婚』みたいになっちゃうよ?」

『結婚』

「いいよ。」

実際に結婚はできないけど、翔と永遠の愛を誓えるなら。

『結婚』
その言葉が、ふさわしいカップルになれる。

俺は、そう信じてるよ。

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