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フーセンガム

第43章 恋の病

(櫻井side)

どれぐらい泣いたのだろうか。

洗面所に向かうと、目が腫れている自分の顔があった。

「子供かよ…」

ぺしっと頬を叩く。

「いつ…帰ってくるのかな…」

また、涙が目にたまっている。

ガチャ。

玄関が、開く音がした。

反射的に、息を呑んだ。

ニ「…翔」

和也だ。

ニ「いるよね?」

帰ってきた。

ニ「あの…ごめんね…。」

俺が、愛する…。

「和也っ!」

玄関で立ち尽くしている、和也を抱き締めた。

ニ「しょ…」
「謝んないで。俺が…悪いの。」
ニ「でも…」
「でもじゃないの。俺が…悪いの」

一筋の涙が流れる。

ニ「うん…翔が悪い…」
「うん。ごめん、ごめんね」
ニ「しょうがないな…。許してあげる」
「ありがとう。大好き」
ニ「大好きじゃないでしょ?」
「え?」

体を離し、目を合わせる。

ニ「“愛してる”でしょ?」

ぽろぽろと涙を流しながら、笑う和也がなんとも言えないぐらい綺麗だった。

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