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フーセンガム

第49章 テディベア

(二宮side)

翔が出掛けてから、数時間。

「う~」

俺は、玄関先で正座をしてほっぺを膨らませていた。

「帰ってこないっ」

いつもなら、まだ学校にいる時間だからなんにも思わないけど今日は違う。

「…………しょお…」

でてったとかだったらどうしよう…。

俺が、怒ったから?

「ど…どうしよう…」

血の気が引いていくのがわかる。

翔が帰ってこなかったら……。

「ふぇぇ…」

ボロボロと涙が落ちる。

「しょおっ…ふぇぇ」

どうしても、涙が止まらない。

手探りで携帯をとり翔に電話をかける。

電話が繋がる。

「もしも…」

聞こえてきたのは、感情のない機械音。

電話は、繋がっていなかった。

「ふぇぇっ」

びっくりするぐらい泣いた。

泣きわめいた。

すると、携帯が鳴る。

「ふぇぇ、しょお」
櫻『ど、どうした?』
「嫌だぁ、離れないで…ふぇぇ」
櫻『大丈夫!?急いで帰るから!待っててね!』
「うんっ、うんっ」

頷きながら答える。

櫻『すぐに帰る!』

電話の向こうで、エンジンがかかる音がして電話が切れた。

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