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フーセンガム

第53章 鮮麗な模様

(櫻井side)

なんで涙が出たのはわからない。

けど、幸せだからだとなんとなく思う。

ニ「翔…愛してる」

和也の額にキスをしている間に、和也が呟いて俺を抱き締めたんだ。

『愛してる』

そう言って抱き締めたんだ。

「愛して…るっ…」

額に唇がついて、うまく喋れない。

なんてのは、表向き。

本当は…本当は、泣いてた。

ニ「泣かないで?」
「…泣かせてよ」
ニ「しょうがないなぁ」

和也は起き上がって、ベッドの上にちょこんと座る。

そしたら、手を広げて綺麗な瞳から一筋の涙を流して言った。

ニ「泣いていいよ」

そう言う和也に見とれてしまった。

ニ「愛してるよっ…」

泣きながら精一杯伝えてくれる和也の胸に飛び込んだ。

ニ「翔…」
「和也~」

『なんとなく』から『確信』に変わったんだ。

俺が泣いているのは、
和也といるこの時間が幸せで
大切だからだ。

大切な、大切な…

愛を築いてきたからだ。

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