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フーセンガム

第4章 距離

(二宮side)

なんか、違う。
いや、全然違う。

今の…俺じゃない。
「えへへ」?
何言ってんだ。

櫻「じゃ、行きますか」
「はい。」

櫻井先輩の会計が終わり、本屋を出る。

櫻「ゲーセン好きなの?」
「はいっ、好きすぎて困ってます」

…さっきから背後に気配がある。
学校出た時から感じてはいたけど。

櫻「ゲーセン…なにしようか」
「とりあえず、ブラブラしましょ」
櫻「そうだね」

櫻井先輩…さっきから嬉しそうだな…。
まさか、大野先輩が言ってたことってマジ?
…んな訳ないよな。

櫻「ねぇ、二宮くん」
「なんですか?」

ゲーセンに入るなり、立ち止まり話しかけてきた。

櫻「俺、これ欲しい。やっていい?」

真顔で、ガラス越しに指を指して聞いてきた。

「どうぞどうぞ」

それから、櫻井先輩は100円…200円……最終的に700円使っても取れなかった。

「…下手くそ」

ついつい本音が出てしまった。

櫻「じゃ、二宮くん取ってよ!」

ムキになって言ってきた。

それでも、一発でとってしまう。

櫻「えぇ!?なんで!?」
「はい、どうぞ」
櫻「100円でいい?」
「お金はいいです。櫻井先輩にプレゼントってことで」
櫻「いや、でも…」
「プレゼント」

圧力をかけてみる。

櫻「じゃあ…」

こんな一面もあるんだ…。
なんて、嬉しくなった。

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