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フーセンガム

第54章 危険な再会

(櫻井side)

和也が、砂浜を走ってきた。

ニ「翔っ!おはよ♪」

足と手についてる砂を払い、俺に抱きついた。

「おはよ」

ぎゅっと抱き締めかえす。

ニ「捜した?」
「うん。捜したよ」

華架ちゃんの目線を気にしながら言う。

ニ「えへへ、ごめんね♪」

二人で見つめあう。

「あっ、この人は…」

華架ちゃんに体を向ける。

ニ「二宮和也です。」

頭を下げる和也。

ちゃんと笑顔で挨拶してるけど、
目の奥が笑ってないよ。

華「え?男の人?」

華架ちゃんはびっくりした顔で、
俺を見つめた。

「うん。」
華「抱き合ってたから、女の人かと…」

華架ちゃんが戸惑いをみせる。

ニ「翔、この人は?」
華「あっ、私は山中華架です。」

華架ちゃんは、長い黒髪を耳にかける。

ニ「よろしくお願いします」

可愛く笑う和也。
……目の奥が笑ってないけど。

華「よろしくお願いします」

華架ちゃんも笑った。

ニ「翔」
「なに?」
ニ「帰ろ。雅紀達が待ってる」
「あっ、うん。じゃ、またね」
華「うん。またね」

すれ違いざまに、手の中に紙が握らされる。

華架ちゃんをみると、昔の無邪気な笑顔を浮かべていた。

ニ「翔、どうした?」
「…ううん。何でもない」

手紙を受け取ったなんて、

絶対に言えない。

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