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フーセンガム

第63章 traveler's check②

(相葉side)

哀「あ~、とりあえず座ってて」

哀川くんの家にお邪魔している。

「あ、うん」
哀「なんか飲む?あ、ジュースでいいかな?」
「うん。大丈夫」

なんか、イメージと違ったな。

もっと、クールな人かと思った。

哀「で?今日は何しに?」
「あの…智と会う気はないですか?」
哀「えっ」

哀川くんは、テーブルにコップを置いて座った。

「智……まだ…」
哀「なに言ってるわけ?」

哀川くんの冷たい声が響く。

哀「今の、智は相葉くんが好きなんでしょ?なんで、会わないといけないんだよ。」

イライラしてるみたいで、空気がピリッとする。

「智……に哀川くんが生きてるって伝えたい」
哀「どうして」
「思いを優先したい。」

智が、哀川くんのもとに戻りたいならそれでいい。
智の幸せが、一番の幸せだから。

哀「嫌だよ。俺は会わないよ」
「え?」
哀「智には会えない」
「ど、どうして…」

身を乗り出して、聞く。

哀「翔が言ってた。智は、俺が死んだって思ってるんだろ?だったら、俺は智の中で葬られたほうがいい。」

……哀川くんなりの、決意なのかな。

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