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フーセンガム

第69章 秋の訪れ

(二宮side)

また、忙しい日々に戻り深夜に帰ってくる翔。

今日はいつもより遅い。
心配で、電話を掛けた。

櫻『もしもし、まだ起きてたの?』
「うん」

翔の柔らかい声に安心する。

櫻『寝てていいのに…』

寝てられないよ。
翔が帰ってくるまで、待ってたい。

「今日も遅くなるの?」
櫻『うん。まだ終わりそうにない』
「そっか…」

今日は、帰れないのか…。
翔が帰ってこないのなんて、初めてかもしれない。

そう考えると、不安になる。

櫻『朝には帰るから、朝ご飯お願いね!』

翔が、俺の不安に気づいたように言う。
優しいなぁ…。

「うんっ、分かったよ♪」
櫻『じゃあ、おやすみ』
「おやすみ」

プチッと、電波が途切れる。

「はぁ……」

深いため息をついて、布団に潜る。

夏と比べると涼しいけど、少し肌寒い。

「翔……」

テディベアを手に取り、抱き締める。

「お休みなさい…」

翔のぬくもりがなくても、大丈夫。
ちゃんと、俺のなかに翔がいる。

テディベアが、
首につけたネックレスが、

それを証明している。

俺は、安心して眠りに堕ちていった。

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