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フーセンガム

第70章 色褪せる愛

(櫻井side)

今日も、遅くなってしまった。

電話は、いれてない。
言わなくても、仕事だってわかってくれる。

明日は、休みだし和也と丸一日一緒にいられる。

「ただいま」
ニ「……。」

いつもなら、『おかえり』って必ず言ってくれるのに…。
具合でも悪い?

心配になって、寝室に向かう。

ニ「……。」

和也は、布団にくるまって寝ていた。

「ただい…」

頭を撫でようとすると、和也の目が腫れているのに気がつく。

「…寂しい思いさせて、ごめんな」

頭を撫でると、和也は俺の手を避けた。

「…え?」

寝返りをうったようにも見えるけど、俺にはわかった。

和也は、俺を避けた。

「和也?」
ニ「……っ、…っ」

声を押し殺して、肩を大きく揺らしながら泣いている。

「どうした?」
ニ「…っ」

なにも言わないで、ただ泣いている。

「和也…」

頭を再び撫でると、今度は立ち上がる。

ニ「トイレ…っ…」

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