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フーセンガム

第70章 色褪せる愛

(二宮side)

俺を優しく撫でるその手で、女か男かわからないやつも撫でたのか。

そう思うと、吐き気に襲われた。

「トイレ…っ…」

なんとか声を出してトイレに駆け込む。

「うぇっ…うっ、うっ…」

涙が止まらなくて、余計に辛くなる。

まだ、浮気してるって決まったわけじゃないけど…疑惑が消えない。

櫻「和也!」

鍵かけるの…忘れてた。

櫻「大丈夫?」

背中を擦られる。

駄目だ…。
気持ち悪い…。

「うぇっ」

また、吐く。

横目で翔をみると、心配そうに俺を見ていた。

なんで、そんな顔するんだよ…。

「しょ……」

翔の方に体を向けて、顔を合わせないように翔の太股に目線を落とし、手をついた。

櫻「ん?どうした?」
「お願い……一人にして…」

涙が翔の着るスーツを濡らした。

櫻「……無理だよ。和也が辛いときに側にいられないのは嫌だ」

なんで、そんなこと言うんだよ。

櫻「だから…」

翔が、俺をゆっくり抱き締める。

櫻「側にいさせて?」
「…嫌だ!」

翔をトイレから突き飛ばして、鍵を掛けた。

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