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フーセンガム

第76章 手を叩け

(櫻井side)

大学についたのは、いいけど…。

和也が、どこにいるのかわからない。

そんなとき、声が聞こえた。

「雅紀のバーカ!」

雅紀!?

反応して、振り返る。

ニ「あ~もう!」

和也だ。

髪の毛を、グシャグシャにして走っていた。

ニ「も~、おっそい!」

信号を待つより、走るほうが早いと思ったのかこっちに向かって走ってきた。

「え…」

人込みを掻き分けながら、走る和也が横を通りすぎて行く。
俺は、その姿を目で追った。

そしたら、ふと足を止めて振り返る。
必然的に目が合った。

ニ「……しょ…しょ…」

口をパクパクと、動かす和也。

「和也」
ニ「に、偽物?」

腰を低くして、俺に近づく。

「偽物じゃないって」
ニ「え!」

走り出そうとする和也の腕を掴む。

ニ「は、離せよ!」
「会いたかった…」

和也を抱き締めてみる。

ニ「い、嫌だっ…離せって…」

手を突っぱねて、離れようとする。

「手紙、ありがとう」
ニ「っ!」

和也の力が弱まる。

「手紙読んだから、会いに来た」
ニ「会うことはないって書いたじゃん」
「え?そんなこと書いてあった?」
ニ「んもぉ~!とにかく、離せよ!」
「和也、ちょっと声、低くなった?」
ニ「え?わかる?」
「うん」
ニ「雅紀は、気づいてないみたいでさ…って、離せよ」

ぜってーに離さない。

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