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フーセンガム

第77章 ほんとの話

(櫻井side)

時は、2年前に遡る。
和也が、出ていったあの日。

和也は、水澤を訪ねた。
水澤は、ボイスレコーダーに会話を録音したらしい。

「なんで、録音したの?」
と、言う和也に
水澤は、
「いつか、この時が来ると思ってたからだよ。」

車のなかで、俺に言った言葉を放った。

水「じゃ、流すよ?」

水澤が、再生ボタンを押すと雑音が聞こえた。

しばらくすると、雑音が消えて声が聞こえ始めた。

ニ『うわぁああっ』

初めて聞く、泣き声だった。

水『落ち着いて、どうしたの?』
ニ『おぢづげないよ!うわぁああっ』

レコーダーの向こうで、和也が大泣きしているのがよくわかった。

水『櫻井は?』
ニ『嫌だよ…』
水『え?』
ニ『離れだくない』

ズズッと、鼻をすする音がする。

水『え?ケンカしたの?』
ニ『違う…』
水『じゃあ、どうしたの?』
ニ『わがんない…』
水『わかんないの?』
ニ『だって、翔が…うぇえん…』

レコーダーの向こうの、和也はとにかく泣いてて…。

隣に座る、今の和也は思い出したように目に涙をためていた。

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