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フーセンガム

第80章 だからこそ

(櫻井side)

怒ってる訳じゃない。

なんか、変な感情が渦巻いてる。

「はぁ……」

ニ『寂しい?』

ふわっと笑う和也を思い出す。
あのとき、和也はなんて答えて欲しかったんだろう。

もし、俺が『寂しい』って言ったら、どうなってた?

『ゲームなんかやめて俺の隣に来なよ。』
ってほんとのことを言ってたら?

和也は、どうしてた?

最近は、悩んでばっかり。
『和也はなんて言われたいんだろう』
とか
『どういう行動を、とって欲しいんだろう』
とか、いろいろ考える。

けど、その結果。
言いたいことが言えない。

怖いんだ。
また、2年前みたいになるかもってどっかでずっと思ってる。

また、和也と離れることを恐れてる。

「…はぁ」

『ため息をつくと、幸せが逃げる』

今の俺は、正にその状態だ。

ため息しか、でない。
言葉もでない。

「はぁ…はぁー」

こたつの電源を落とす。
まだ、暖かさが残ってる間に寝てしまおう。

和也に会う前に、気持ちをリセットさせよう。

ため息ばかりが口からでないように。

和也に素直な気持ちを言えるように。

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