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フーセンガム

第6章 初日

(二宮side)

翔さんに連れられ、人気(ヒトケ)のない場所に来る。

櫻「はぁ~」

翔さんは、急にしゃがみこんだ。

櫻「…心配したよ」

俺を見上げて、頭を掻く。

「ご、ごめんなさい…」

そんな仕草が、あまりにもかっこよくて俺は、胸が高鳴っていた。

櫻「かずって隙ありすぎだよね」
「…そう?」

さっきから、『かず』って呼んでくれてる。

櫻「かずは、誰の?」

立ち上がって、真っ直ぐ見つめられる。

「…翔さん、…の」

恥ずかしくて、言葉がつまる。

櫻「うん、良くできました」

翔さんが頭を撫でる。

嬉しくて、顔がほころんでしまう。

「えへへ」

知らない間に、翔さんの制服の裾を握っていた。

櫻「…かず」
「へ?」

裾を握る右手をグイッと引かれて、翔さんの腕のなかにおさまる。

「へ!?」

だ、抱きしめっ…。

櫻「かず…」

愛らしそうに、俺の名前を呼ぶ。

「…翔さん」

嬉しくて、俺も翔さんの背中に腕を回した。

櫻「好き」

翔さんの心臓がドクンドクンと、なる。

「俺も…」

ぎゅーっと、翔さんに体をよせる。

もっと触れあいたい。って思った。

「翔さん…キスして」

翔さんの腕のなかでとんでもないことを言ってしまった。

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