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フーセンガム

第81章 Christmas

(二宮side)

しばらく抱き合っていた。

「…翔、行こうか」
櫻「あ、うん」

二人で玄関に向かい、順番に靴を履く。

櫻「あ、徒歩でいい?」
「えっ?いいけど」
櫻「はい。姫♪」

翔に手を差しのべられる。

「はい♪おーじさま♪」

二人で手を繋いで、家を出る。


外は、赤・白・緑に染められていた。

「クリスマスって感じだね」
櫻「うん…」

翔の申し訳ない感じが痛いくらいに伝わってきた。

言わなきゃよかった。
なんて、後悔に駆られる。

櫻「あ、雪…」

翔が空を見上げた。

「雪だ…」

白く、儚い雪が空から落ちてきた。

櫻「ホワイトクリスマス?」
「んふふ、そうだね」

俺たちはゲーセンの中に吸い込まれた。

「暖かい」
櫻「もはや、暑いぐらいだよ」
「翔が、汗かきなだけでしょ?」
櫻「ふふっ」

俺たちは、リズムゲームをしたり、コインをゲームしたり…。

久しぶりのゲーセンを楽しんだ。

櫻「あー、楽しい」
「もう、汗すごいな…はい」

翔におしぼりを渡す。

櫻「あ、ありがとう」

翔はおしぼりで顔を拭いた。

「にしても、あのゲームに負けるとは」

そのゲームは、潤くんにも負けたことがない射的ゲームだった。

櫻「まさかの、得意ゲーム」

満足そうに笑った。

負けたのは悔しいけど、翔が楽しんだんなら俺は満足だから。

櫻「もう一回やる?」
「調子に乗んな」
櫻「うわっ、怒ってるの?」
「怒ってないよ。悔しいだけ!」

俺は、射的ゲームに100円をいれて空気銃を構えた。

櫻「素直でよろしい」
「ぜってー、負けないから」

むきになってる自分に呆れた。

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