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フーセンガム

第81章 Christmas

(二宮side)

なんてのは、数日前の話。

今日が、クリスマス当日。

櫻「行ってくるね」
「いってらっしゃい。雪積もってるから気をつけてね?事故とか、やめてよ?」
櫻「わかってるよ。」

頭を撫でられる。

「ケーキ、なにがいい?」
櫻「チーズケーキ」
「わかった。いってらっしゃい」

キスをして、翔を見送った。

バタンって音をたてる扉が、俺たちの境目みたいで居心地が悪い。

外を見ると、都会とは思えないほどの銀世界。

窓には、結露。

こたつの上には、翔が飲んでたコーヒーのマグカップがまだ残っている。

テレビの横の棚には、DVDがたくさんあってどれを見たのかも忘れてしまっている。

「…幸せだな」

なんともない、こんな日常に幸せを感じる。

俺は、マグカップを手にとりキッチンに向かう。

家には、水の音と食器が重なる音ばかりが響いている。

もし、翔がいたら。

なんて、考えてしまう。

翔と離れていた2年間の間についた癖だった。

「はぁ…」

まだ、怖い。
また、離れる日が来そうで。

そんな風に思ってしまうほど、
俺にとって2年の空白は大きかった。

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