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フーセンガム

第81章 Christmas

(二宮side)

長岡さんに呼ばれたから、なにかあったのかと思っていた。

櫻「大丈夫、なんともないよ」

翔は、にこやかに笑った。

「はぁ…よかった…」
櫻「でね。今日は、クリスマスパーティをする」
「え?仕事じゃないの?」

クリスマスパーティ?
仕事……

「おっきい仕事って…」
櫻「うん。このこと」
「なんだぁ…」
櫻「だから、一緒に楽しもう?」
「え?俺も、いいの?」
櫻「うん」

翔に連れてこられたのは、更衣室。

櫻「着替えといで」
「え?」
櫻「服、用意してるから」

翔に急かされて、更衣室に入る。

水「よっ、二宮くん」
「み、水澤先輩…」
水「大丈夫だよ。ビビんないで」

ケタケタと笑う水澤先輩。

「で、でも…」
水「櫻井、幸せそうだよ」
「え?」

水澤先輩はふっと寂しげな顔をした。

「水澤先輩…もしか…」
水「さぁ、着替えるよ♪」

水澤先輩に手を引かれて、服を渡された。

「えっ、これ着るんですか?」
水「久しぶりの女装にドキドキするでしょ?」
「いや、女装はそんなに好きじゃないです」
水「え?でも…」
「翔が求めるから着るだけです」
水「もう、いちゃつきやがって~」

椅子の背もたれを前にして座った水澤先輩は笑った。

水「ウェディングドレスは、まだ着れないからね…」

水澤先輩が、ボソッと呟いた。

「え?ウェディングドレス?」
水「あ、気にしないで」

アハハって作り笑いをする水澤先輩。

「とりあえず…ヅラはお願いします」

この服にヅラ被らないとか、
ただのオカマだからな。

水「ふふっ、黒髪のリクエストを櫻井からもらってまーす」
「えっ、ほんと?」
水「うん。早く、着替えておいで」

翔の名前が出ると、どうも素直になってしまう。

もちろん、翔の前では素直になれないんだけど…。

水「後ろのチャックは閉めてあげるからね」
「はーい」

翔が、求めるなら女装だって
コスプレだって、いくらでもするよ。

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