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フーセンガム

第82章 媚薬

(櫻井side)

和也は、何もないような顔で車に乗り込んだ。

「家まで」

一言、長岡に伝えると「わかりました」とだけ言った。

「和也」
ニ「ん?どうしたの?」

なんでこんなに平常心でいられるんだろう。
あの媚薬、結構強いはずなんだけど…。

「和也って酒強いんだね」
ニ「えー?そうかな?」

パーティでシャンパンを軽く10杯は飲んでいた。

俺なんて、5杯ぐらい飲んだだけで危ないのに…。

ニ「ねぇ、翔」
「ん?」

和也に顔を向けると、媚薬が効いてきたのか顔を紅潮させていた。

ニ「あのね…」

和也が俺の手を握った。

ニ「お酒…まだ飲みたい」
「え?」

俺は、期待していた言葉と違うことに驚いて間抜けな声を出してしまった。

ニ「なんかさ、お酒が強いって恥ずかしくて…」
「えっ、かっこよくない?」
ニ「かっこよくないよ!」

俺の手を離して、太股をバシッ!っと叩いた。

「痛いよ」

俺は、和也が叩いた太股をさする。

ニ「はぁ…もう知らないっ」

和也は、顔を逸らした。

その瞬間、和也が熱い息を吐いていたのは知るよしもない。

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