テキストサイズ

フーセンガム

第7章 気付き

(二宮side)

「頑張ってね、翔さん」
櫻「うん」
大「じゃ、借りるね」
「ちょっ!」

急に手を引かれて、走り出す。

「じゃあね、翔さんっ」

翔さんに手を振ると、微笑んで手を振り返してくれた。

大「あっ!」

急に立ち止まる。

「な、なんですか?」
大「僕のこと、智って呼んでよ」
「さ、智?」
大「そう、さ・と・し♪」

満面の笑みをこぼす、大野先輩。

可愛い…。
じゃなくてっ!

「どうして、大野先輩のことを名前で呼ばないといけないんですか?」
大「いいじゃん、駄目な理由なんてないでしょ?」
「ないですけど…」

確かに、駄目な理由なんてなかった。

でも、翔さんがどう思うかだけを考えていた。

大「翔ちゃんのこと考えてるの?」

顔を覗いてくる。

「…………まぁ」
大「…そうだよね、翔ちゃん彼氏だもんね」
「でも、智…くんって…呼びます」

呼ばない理由なんてないし。

大「無理しなくていいよ」

ちょっと無理して笑ってた。
智くんこそ、無理してんじゃん。

「無理なんて…してません」
大「あーー!メロンパン!」

俺の話なんて聞いちゃいなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ