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フーセンガム

第15章 水

(大野side)

ふふっ、困惑してる。

櫻「えっ、智…なんで来たの?」
「翔ちゃんがどうして休んだのか聞きに来ただけだよ。」
櫻「電話とかメールでい…」
「和也くんも、来なかったよ」

真っ直ぐ翔ちゃんを見つめた。
翔ちゃんは、うつむいてしまった。

「なにがあったの?僕にぐらい教えてよ、力になるから」

力になりたい。
翔ちゃんの痛みも悲しみも良くわかるから。

櫻「…言いたくない」

翔ちゃんはぼそっと呟く。

「なんで?」
櫻「言ったら…泣いちゃう」

翔ちゃんはいつだって僕のヒーローだった。
助けてくれて、支えてくれて…。

弱さなんてこれっぽっちも見たことがなかった。

「翔ちゃん…バカっ!」

翔ちゃんの頭を叩く。

櫻「イテッ…」
「泣いちゃいけないなんて誰が言ったの?誰が決めたの?」
櫻「智…」
「悲しいときは泣いていいんだよ?悔しいときだって、嬉しいときだって…。だって…人間だから」

この時、泣いてるって気づいたんだ。

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