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年上のカノジョ

第6章 雨の中で

ちらりと公園内を覗くと、遥はまだそこにいた。
さっきと同じ場所でじっと地面を見つめたまま立ちつくしている。その横顔からは何の感情も読み取れない。

あんな遥見てられない。

俺にできることは…?

考えるのは得意じゃない。とりあえず、偶然を装って近づくことにした。



「…遥?」

ハッとして顔を上げる遥。頬に涙の跡がついていた。

「ゆ、祐樹…どうしたの?」

悲しいほど痛々しい作り笑顔で言う遥。

「どうしたじゃねえよ。公園にぼーっと突っ立ってる奴がいるなぁと思ったら遥だし。こっちこそどうしたって言いてぇよ。何かあったのか?」

さっきの光景を見てなくても、普段の俺ならこれくらい言うだろう、ということを想像して言ってみる。

「な、何でもないよ…ちょっと疲れてただけ、かな」

心配させまいとしているのだろう。儚げな笑顔を見せる。



…ヤバい。

めちゃ可愛い。

その笑顔は反則だ。

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