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年上のカノジョ

第6章 雨の中で

「…遥、それ『疲れてただけ』っていう顔じゃないよ」

「えっ……」

少し驚いた顔をする遥。

ダメで元々、俺は遥の力になりたくて、さらに続けた。

「何か辛いことでもあったんじゃないのかよ?俺でよければ愚痴れよ?」

ひっ…と遥が息を飲む音が聞こえた。

「ゆ、ゆ…き…ありが、と……っ」

ぼろぼろっ、と音がしそうなくらい大粒の涙が遥の目からこぼれ落ちた。



ああ、もうダメだ。

そんな顔されたら我慢しろってほうが無理。



「バカ遥……」

俺はどうにでもなれ、と遥を抱きしめた。

一瞬体を強ばらせる遥。

「ゆ……っ…!」

俺から離れようと弱々しく俺の胸を押す。でもこれでも俺だって男だ。遥の力には負けない。さらにぎゅっと抱きしめて、耳元に囁いた。

「いいから、泣いちゃえよ…俺が隠しといてやるから…」

遥の体から力が抜けた。
肩が震えている。ひっく、ひっく、としゃくり上げる声が聞こえる。

「ぅう…ぅ…っ…ぅわあぁぁぁぁっ!」

よしよし、と撫でてやると、遥はまるで小さい子のように声を上げて泣いた。

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