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年上のカノジョ

第6章 雨の中で

「ひど…い…よね…あたしと知り合ったときから、もう奥さんが、いたの…!あたしと付き合う気なんて、なかったの…!」

「…ひどい奴だな」

俺は怒りを抑えて言った。

「でも……でも、好きだったの……!」

遥は再び声を上げて泣いた。
俺はそんな遥をただただ抱きしめていてやることしかできなかった。





もう少しオトナだったら。

俺が遥と同い年くらいだったら。



「俺だったら遥を悲しませない」



あまりにもコドモな俺には、その一言は言えなかった。

俺にできるのは、遥の小さな震える体を、ただただぎゅっと抱きしめていてやることだけ。
心が少し落ち着くまで、側にいてやることだけ。

5つの年齢の隔たりを、これほどまでに大きく感じたことはなかった…

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