テキストサイズ

年上のカノジョ

第7章 動きだすココロ

「ごめんね、じゃあ行こうか」

遥が言って歩き出す。

前に女性二人、後ろに俺ら男が二人。
しばらくはそれぞれ他愛ない話をしながら歩いたけれど、祭りの中心部に向かうにつれて人が多くなってきた。

「やっぱり混んでるね。祐樹、迷子になってない?」

「あのなぁ、もう俺だってガキじゃないんだよ」

冗談めかして言う遥にこたえる。

「そうだ!」

ひかるさんが急に声を上げた。

「私、友洋君と歩くね」

「え?」

あっけに取られている間に、ひかるさんはさっさと俺と友洋の間に入り込んだ。

そして。

「遥が一人になっちゃうから祐樹君、行ってあげてっ」

背中をどん!と押された…

「ぅわっ!」

「な、何よぅ、ひかるってば…」

戸惑う遥にひかるさんはあっけらかんと言う。

「私小さいから人混みの中で迷子になりそうだけど、大きい友洋君といればどこにいるかわかるでしょ?これなら少しくらい離れちゃっても大丈夫だよねっ」

そう言って一点の曇りもない笑顔でニッコリされちゃったらもはや頷くしかない。

友洋を見ると、ひかるさんといることもまんざらでもなさそうだ。



それに……

俺にとっては遥と一緒にいられて好都合だったりする。

俺は心の中でこっそりひかるさんにお礼を言った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ