妖魔滅伝・団右衛門!
第4章 足軽退魔師団右衛門
出会って間もない団右衛門には計りかねない友情が、きっと清正と嘉明にはあるのだろう。団右衛門の両手に握られた刀は重く、そして美しかった。
「必ず、嘉明を守ってやってくれ」
「……ああ」
清正の熱意には、大口を叩く隙などない。団右衛門は短い返事に、最大の敬意と決意を込めていた。
嘉明が目覚めてすぐに感じたのは、酒の匂いと、体を包む他人の体温だった。寝ぼけた目に入るのは、嘉明を抱き締めて眠る団右衛門。何があったのかと、嘉明は昨晩の記憶を思い返してみた。
(確か、清正と飲んでいて、清正が――)
蘇るのは、清正に眠り薬を飲まされて昏倒する記憶。慌てて体を起こし辺りを見回してみるが、ここは確かに嘉明の寝所だった。
(夢……だったのか? いや、しかし)
「ん……嘉明……?」
混乱する記憶をどうにか整理しようと考えていると、酒の匂いを纏った団右衛門が薄目を開き嘉明を布団に引っ張り込む。この際団右衛門に聞くのが早いと決めた嘉明は、また目を閉じようとする団右衛門の頬を叩いて起こした。
「おい、なんでお前はここにいる。私は昨日、何かしたのか?」