妖魔滅伝・団右衛門!
第4章 足軽退魔師団右衛門
「団右衛門、と言ったな」
すると清正は、自らの刀を団右衛門に渡し、頷く。
「え、この刀くれんのか?」
「いや、貸してやるだけだ。技量も大事だが、やはり力はあった方がいい。この刀は俺の親父が打った最高の刀だ。きっと鬼の首も、軽くはねるだろう」
「親父……?」
首を傾げる団右衛門に、清正は虎の頭を撫でながら語り始めた。
「俺の親父は昔、美濃や尾張で退魔師をしながら放浪していたらしい。だがその道中で鍛冶屋の娘だったお袋と結婚し、刀鍛冶になった。そして退魔師と鍛治の技術を合わせて作ったのが、この刀だ」
「へえ、刀鍛冶ねぇ……あんたはそれを継がなくて良かったのか?」
「親父は、俺が小さい頃に死んでしまったからな。しかし俺が食うのに困らないよう、退魔師の秘伝と刀を残してくれた。まあ、結局今は武士として秀吉様に仕えているが、親父には感謝している」
つまりこの刀は、清正にとって父親の形見である。そんなものを借りていいのかと団右衛門が悩んでいると、清正は豪快に笑い飛ばした。
「そう難しく考えるな。何もくれてやる訳じゃない。鬼を倒したら、嘉明と一緒に俺の元まで返しにこい。そんな理由でもなければ、なかなか会えないからな」