妖魔滅伝・団右衛門!
第4章 足軽退魔師団右衛門
「ああ、戻すのは簡単だ。妖力を増幅して進化したんだから、封じてやれば元に戻る」
団右衛門は裾から札を出し、虎の額にそれを貼り付ける。すると虎の体がみるみるうちに縮み、猫又の姿へと戻った。
が、猫の顔に札は大きすぎる。戻った猫又は視界を邪魔する札を前足で剥がし、すぐ虎に戻ってしまった。
「ありゃ、これは何か違うもんで制御しねぇと駄目だな。何か考えとく」
団右衛門はひとまず札を背中に貼って、また猫又に戻す。背中でも邪魔そうにしているが、当面はそれでしのげそうだった。
「札一枚で変わるとは、面白いな。俺ももう少し勉強するか……」
清正は猫又を抱き上げひとしきり眺めると、嘉明の膝の上に返す。
「お前は勇敢な虎なんだ、しっかり主人を守るんだぞ」
返事をするかのように力強く鳴く猫又に、清正は頷いた。そして立ち上がり背を伸ばすと、あくびして嘉明に語った。
「さて、腹も膨れたし、俺は休ませてもらおうか。あまりのんびりはしていられない、秀吉様の天下のため、やらなきゃならない事はたくさんあるからな。明日の朝、ここを発とうと思う」