妖魔滅伝・団右衛門!
第4章 足軽退魔師団右衛門
「そりゃ、それが依頼なんだから構わないさ。どういう経路を使うつもりだ? 下見しておきたい」
だが嘉明は、問いに答えず団右衛門を渋い顔で見つめる。
「……なんだよ、オレ今日は怒られる事してねぇぞ」
「いや、怒るつもりはない。その、なんだ……ただ同行するだけでなく、武士として来てみないかと思ってな」
「へ?」
「一つの家に仕えるのが嫌なら、無理にとは言わない。だが、私はお前をただの客人ではなく、召し抱えたいと思っている。返事はすぐにとは言わないが――」
「なる! なるなる! 今日からオレあんたの家臣になる!」
右手を上げてすぐ答える団右衛門に、嘉明は圧倒されてたじろぐ。だが団右衛門はそれでも退かず、嘉明に抱き付いた。
「オレみたいな天才を置いときながら、決めるのが遅いんだよ! オレの隣はあんただって、とっくに決まってんだからな」
「……ここまですぐに、返事が来るとは思っていなかった」
今にも踊り出しそうな団右衛門に、嘉明は驚きながらも口元が緩む。遠慮なく抱き締めてくる腕も、邪魔だとは思わなかった。