妖魔滅伝・団右衛門!
第4章 足軽退魔師団右衛門
「で、オレは侍大将? それとも家老か?」
「調子に乗るな、足軽からに決まっているだろう」
「足軽!? ちょっと待てよ、なんでそんな下っ端!?」
「いきなり家老になど取り上げたら、昔から私に仕える皆を軽んじている事になるだろう! お前だけが家臣ではないのだぞ」
先程まで喜んでいたくせに、団右衛門は足軽と聞いた途端離れて文句をこぼす。結局いつもの傲慢な態度に、嘉明は早速召し抱えた事を後悔していた。
「とにかく、偉くなりたければ武功をあげろ。軍規もしっかり守らなければ、奉公構にして追い出してやるからな」
「大丈夫大丈夫、オレがやらかす訳ないだろ? あんたが追い出そうなんて考える間もなく満足させてやるよ。昼の槍働きも、夜の槍働きも、な」
団右衛門は軽口を叩きながら、そっと右手を嘉明の尻に伸ばす。しかし嘉明はそれをぴしゃりと叩き、団右衛門を睨んだ。
「そのような冗談は好かぬ。秀吉様の前では、口が裂けてもそんな事を言うなよ」
「ちっ、いいじゃねぇか少しくらい。今日は確かに夜の日だが、別に朝だって」
だが嘉明は団右衛門を無視し、部屋の外に向けて声を掛ける。
「八千代、いるか?」