妖魔滅伝・団右衛門!
第4章 足軽退魔師団右衛門
「だからぼくはずっと嘉明様のお側で、嘉明様のために生きていきたいんです。それを邪魔する鬼は、絶対退治しなければ」
「ああ、そうだな。オレもせっかく召し抱えてもらったし、今まで以上に気合い入れるか」
「召し抱え……団さん、加藤家に雇われたんですか?」
「おう、残念ながら足軽からだが、今日から八千代とも同僚だぞ!」
団右衛門は胸を張り自慢するが、八千代は目を丸くして黙り込む。
「そんなに驚くなよ、八千代。オレみたいな出来る男が引く手あまたなのは当然なんだ、そりゃ嘉明も雇いたくなるさ」
「は、はあ……」
「さてと、まずは京までの道を下見しないとな。暇なら手伝ってくれよ、八千代。鬼が潜みやすい裏道とか、教えてくれると助かる」
「え? あ、あの、別に暇という訳では……」
「よし、それじゃその辺の偉そうな奴に、進軍経路を聞いてこないとな!」
団右衛門は八千代の返事を聞かず、勢いのまま飛び出す。慌ただしい足音が去っていくのを聞くと、八千代は溜め息を漏らし、嘉明の手拭いに顔を埋めた。
「嘉明様の匂い……」