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妖魔滅伝・団右衛門!

第6章 妖魔滅伝・嘉明!

 
 だが、嘉明の手が触れた瞬間、そこから雷の衝撃が走り八代の巨体が上に吹き飛ぶ。

「があっ……!!」

 衝撃にぶれる目に入ったのは、嘉明の手に貼り付けられていた退魔の札。そしてそのまま落ちる八代の鳩尾を狙い足を蹴り上げる、勇猛な姿だった。

 鳩尾を蹴り飛ばされ、八代の呼吸が一瞬止まる。嘉明の上ではなく地面に落下した八代は、起き上がる事もままならず、苦痛に胸を押さえた。

「……っ、迂闊っ……ぐうっ!!」

「私は、同じ過ちを何度も繰り返す間抜けではない。敵を侮り驕った時点で、お前の負けだ」

 嘉明が起き上がり構え直した時、団右衛門がその隣に駆け寄る。

「嘉明、大事ないか!?」

「問題ない。お前のくれた札のおかげだ」

「俺の機転に感謝しろよ。礼は熱い接吻でいいからな」

 団右衛門は先程八代を挑発すると同時に、いざという時使うよう耳元で囁き嘉明へ札を渡したのだ。嘉明の足を縛る糸を焼きながら軽口を叩けば、嘉明は顔色一つ変えず答えた。

「分かった、考えておく」

「はいはいそんな冗談通じる訳ないよな――って、え!? 考えてくれんの!?」
 

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