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妖魔滅伝・団右衛門!

第6章 妖魔滅伝・嘉明!

 
 団右衛門は驚き目玉が飛び出そうになるが、八代がゆっくりと身を起こすのを見て浮かれる気持ちを一旦しまう。八代の足はふらついているが、まだ動けそうだった。

「上手くいかぬ……全ては貴様のせいよ、退魔師!! 憎い……その魂、地獄へも行けぬよう引き裂いてくれる!」

「やれるもんならやってみな! ただし蜘蛛はオレが浄化してやったからな。一人でオレと嘉明と、清正。三人を相手にして勝てるなら来い!」

「!」

 八代は言われて気付く。もう一人の退魔師の、虎をも倒し従わせる清正の手勢が、こちらへ向かう足音を。

「ちっ、これ以上は……」

 八代が口笛を鳴らせば、黒い雲が上空より現れる。八代はそれに乗ると、手の届かない高くまで上った。

「今日はここまでだ。しかし次こそは、嘉明を我が物にしよう。鍵は既に、手中にあるのだからな」

 八代はそのまま上空に消え去る。嘉明は団右衛門の様子を横目で見てみるが、追いかける様子はない。

(黒い靄を壊すのも、蜘蛛を倒すのも容易ではあるまい。口には出さぬが、疲れているのだろうな)

 それらしい様子は見せないが、鬼を浄化するのは骨だろう。嘉明は団右衛門の頬に手を添えると、何か言われる前に口付けた。
 

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