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妖魔滅伝・団右衛門!

第6章 妖魔滅伝・嘉明!

 
 嘉明は一礼すると、清正の手勢を覗き、首を傾げる。

「悠久は置いてきたのか?」

「ひさつね? 誰だ、それ」

「京で出会った、とある小姓の生き別れた兄だ。団は彼に、清正への援軍を頼むように指示したらしいが」

「いや、そんな奴は見ていないぞ。俺は妖魔の気配がしたから、ここまで来てみたんだ」

 するとますます嘉明の首は傾き、頭に沸いた疑問をそのまま口に出した。

「清正、いつからお前は妖魔の気配などというものが分かるようになったんだ?」

 清正が退魔師である事は、嘉明どころか秀吉にも秘密である。うっかり漏らしてしまった事に焦り、清正は目を泳がせた。

「それはだな、その」

「……まあ、いい。しかし単独で来たなら、悠久はどこへ消えたのか」

 嘉明が顎に手を当て考えていると、団右衛門が頭を肩に乗せてくる。そして腰に手を回しながら、団右衛門ははつらつと挨拶した。

「よっ、しばらく振り。なあ、オレからも聞きたいんだが、途中で髪色が茶色の少年を見かけなかったか?」

「さあ……俺も全員を気にして走った訳ではないが、そんな特徴的な奴はいなかったはずだ」
 

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