
妖魔滅伝・団右衛門!
第6章 妖魔滅伝・嘉明!
「そっか……ふーん」
「その少年がどうかしたのか? もしかすると蜘蛛に捕まって転がっているかもしれないが」
「いや、そいつ――八千代にはちっと特別な思い入れがあってな。まあ、皆の糸解きながら探してみるわ」
団右衛門は何事も無かったかのように笑い、皆の救出に向かう。清正も団右衛門があまり深刻な様子ではなかったため、深くは気にせず嘉明に向き直った。
「これだけ騒ぎになったんだ、一度町へ戻るだろう? ひとまず昏倒している者を起こし、屋敷へ戻るといい。蜘蛛の糸に関しては、俺達の隊もいる。団右衛門と俺達に任せてくれ」
「そうだな……今日は少し疲れた。お言葉に甘えよう」
嘉明は腰に手を当て首を回すと、鬼に倒され気を失った家臣の隣にしゃがむ。だがしゃがんだ一瞬、嘉明が眉を歪めたのを清正は見逃さなかった。
「……嘉明」
清正は嘉明の隣にしゃがむと、裾を捲り足元を覗く。
「――訂正する。今すぐ戻って、手当てを受けろ」
嘉明の足は内出血で真っ白な肌は変色し、腫れていた。しかし嘉明は平然とした表情で、清正に向かい首を振った。
「それはならぬ。主君が全てを丸投げして退く訳にはいかない」
