
妖魔滅伝・団右衛門!
第6章 妖魔滅伝・嘉明!
「まったく、お前は相変わらずだな。じゃあ、加藤同士当主として今回の件について評定を行う。それならお前も退くだろう」
「しかし、私達二人とも抜けるのは……」
「嘉明、部下が心配なのは分かるが、少しは部下を信頼してやれ。場を任せられる人間を作る事も、主君の仕事だぞ」
清正は嘉明の答えを待たず、嘉明の腕を手に取り自らの首に回して肩を貸す。嘉明は小さな溜め息を吐くが、清正にこれ以上文句は言わなかった。
清正は部下に細かく指示を出し、嘉明を連れて町へ戻る。結局その日は部下達の救出に追われ、京からの出立は中止となった。
全員が屋敷に戻り、清正とも別れ落ち着いた深夜。姿を消していた八千代と悠久が、息を切らせて戻ってきた。が、負傷した嘉明は既に休んでいる。団右衛門は嘉明を呼ばず、退魔師権限で二人と面会を望み、対面した。
「団さん、ご無事で何よりです。あの……ずいぶんぼくを心配してくださったそうで、申し訳ありません。迂闊な単独行動をお詫びします」
八千代は頭を下げ、団右衛門が訊ねるより先に、消えた事に対する弁明を始める。
