
妖魔滅伝・団右衛門!
第7章 さすらい団右衛門
満たされるためにしなければならないのは、ただ一つ。嘉明は四つん這いになり尻を上げると、孔に自らの指を沈めた。
「くっ、うん……」
侵入する異物を締め付け、後ろは快感を得ようと蠢く。突き刺す刺激は血液と共に体中に広がるが、まだ足りない。荒く手を動かし浸るが、それでもくすぶる火種を収める事は出来ない。
体の奥に覚え込まされたのは、団右衛門の質量。ただ一つ、他にはない形と大きさを、本能は追い求める。
「――っ」
楽になりたくとも気をやれない焦りは、嘉明の胸に重く広がる。いくら手を動かしても、染み付いて離れないのは団右衛門の温もりだった。
嘉明は舌打ちすると、腫れ上がるばかりで達せない欲から手を離す。そして汚れた手を雑に拭くと、かいまきをかけて高ぶる体を隠して小姓を呼びつけた。
「殿、まだお目覚めには早いかと……どうなされました?」
「団を呼んでくれないか、火急の用事がある。それと、人払いも頼みたい」
小姓は首を傾げるが、主君の考えに口を出すのは不躾である。何も聞かず、素直に団右衛門を呼びに向かった。
