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妖魔滅伝・団右衛門!

第1章 夜討ちの退魔師団右衛門

 
 大きく股を広げられ、露わになるのは自身だけではない。その後ろ、嘉明が生まれて一度も強く意識した事のない孔が晒された。

「なぜ……こちらも? 種が、欲しいなら……充分、だろう」

 回らない舌をなんとか制し、嘉明は疑問をぶつける。子種を植え付けるため鬼の中に侵入するならともかく、鬼が種のない後ろを犯す理由は見つからない。嘉明は、たんに欲の処理であるなら、どうにか口車に乗せて回避できないかと頭を巡らせていた。

「これは楔よ。嘉明が儂の元から二度と離れる事のないようにな」

「だが、鬼の体液は……毒だ。そんなもの、受け入れたら……死んでしまうのでは?」

 唾液だけで体が麻痺するのだ。鬼の生命が凝縮された精を、それも体内に直接注がれたら、どうなるのかは想像がつかない。死に至らずとも、人間としての矜持が砕かれ、二度とまともな思考を巡らせる事が出来なくなってもおかしくはなかった。

「鬼の精を受け続けたらどうなるか……よく知っている者が、近くにいるだろう?」

「なに……あっ、ぐわああっ!」

 嘉明の言葉は、下腹部から走る激痛に遮られ苦痛の叫びへと変わる。
 

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