
妖魔滅伝・団右衛門!
第9章 最終決戦・団右衛門!
「一二三の言葉が分かるのか?」
「嘉明は分からないのか? こんなにも喧しい妖魔だというのに」
一二三はこうしている間も、何か話しているが、やはり嘉明には意味が通じない。なぜ理解できるのかが分からず、嘉明は上半身を起こすと訝しみ八代を見つめた。
「嘉明、嘉明は鬼の毒に人一倍敏感な体質らしい。そのまま鬼の精を受ければ、体が耐えきれず死に至る……先程も、一度心臓が止まったのだ。この妖魔が癒やしの力を持っていなければ、そのまま死んだだろう」
一二三は嘉明に抱きつき、体から淡い光を放つ。それは温かく体に染み渡り、嘉明の体を軽くした。
「嘉明が死ぬ事は、儂の本意ではない。嘉明は儂の妻になるべき者だ。体は大事にしなければならない」
「妄言も大概にしろ。私は男だ、妻として役目を果たせる訳がない。そもそも体がお前を受け付けぬなら、どの道無駄だろう」
「無駄ではない。この妖魔が、一人に戻ればな」
八代の一言に、一二三は癒やしの力を止めて嘉明にしがみつく。言葉は分からなくとも、一二三が八代を拒否しているのは明らかだった。
