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妖魔滅伝・団右衛門!

第9章 最終決戦・団右衛門!

 
「分裂した状態で死の淵より人を救えるなら、一つに戻ればより強い癒やしが使えるはずだ。その力があれば、儂の望みも全て叶うに違いない」

「私だけでなく、一二三も奴隷にするつもりか」

「嘉明は、奴隷ではない。儂の妻だ」

「己の欲のまま抱き、自由を奪い子を孕ませる道具が奴隷でないと? 私とお前では、言葉の解釈が違うようだな」

 すると八代は一二三を嘉明から引き剥がすと、嘉明の顎を取り冷たい眼を見つめる。

「ならば人間の世界へ遊びに行くか。人の町を周り、上手い物を食べ、騒ごうではないか。嘉明が隣で笑うなら、人の世界は残してやってもいい」

「残してやってもいい? 傲慢な物言いだな」

「儂は人の作る饅頭は好きだ。饅頭職人は死なぬよう、手を尽くそう」

「……そうか、ならば毒入り饅頭を仕込めばお前を殺せるか」

「鬼の体に効く毒が、この世にあるのならな」

 嘉明が厳しい態度を崩さなくとも、八代は構わず上機嫌である。嘉明の頬を撫で、抱き寄せて腕の中に収めると、一人楽しそうに空想を語った。

「子は男と女、どちらが良いだろうな? 男は強いが、女は貴重だ。出来れば女が良いな」
 

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