
妖魔滅伝・団右衛門!
第9章 最終決戦・団右衛門!
「くだらぬ妄想だ。私がこのまま、大人しく従うとでも? 自害する覚悟は、もうとっくに出来ているぞ」
「自害していいのか? まだあの退魔師は生きている。今も嘉明を助けようと、先の戦いで負った傷を治し向かおうとしているぞ。その退魔師が嘉明が死んだとしれば、どう思うだろうな」
八代の口から出た団右衛門の存在に、嘉明は口をつぐむ。悔しいが、嘉明を今生かす理由はそれだけだったのだ。
団右衛門が破れれば、間違いなく一二三は八代に奪われる。そうなれば、癒やしの力で自害は果たせなくなるだろう。しかし団右衛門が存在し一二三が守られる限り、嘉明は希望を捨てられない。嘉明の死は、団右衛門を始め加藤家の家臣全員の絶望でもあるのだ。
八代に捕まった時点で、嘉明に残された救いの道は、団右衛門が八代を打ち倒す事のみなのだ。衝動的に自害でもしない限り、嘉明に命を落とす道はなかった。
「今はただ、退魔師と妖魔を待て。じきに奴はやってくるだろう」
八代は自ら動く気がないようで、嘉明を抱きしめたまま目を閉じる。嘉明もまた、反旗に備え体力を温存する事にした。
